2013年9月26日木曜日

フレプリで百合

フレッシュプリキュア! 二次創作小説もどき
SS(ショートストーリー)  

タイトル:みきたん  組:クローバー4人全員  
内容:たぶん百合。名前ネタ。お馬鹿。会話または独白

中心は表がせつな、裏がラブ。先に謝ります、ごめんブッキー。
()内の番号が違うと、別の日、別の場所。
私は百合フィルターで作ったけど、そう見えないかも。
誰が誰を好きかは決めて作りましたが、自分以外が読んでわかるのかどうか。
某所にて投下後、ご指摘を頂き全体を微修正済み。


みきたん (1)

「ねえラブ?」
「なに? せつな」
「美希のこと、みきたんって呼ぶの、どして?」
休日の朝、朝食後にラブの部屋で、雑誌を読みながらくつろいでいた私は、ふと疑問に思ったことを口にした。
「あー、それね。いつだったかなー、あたしがふざけてみきたんって呼んだ時に、みきたんの反応が面白くってさー。それから、からかうように使うようになったんだ」
「そうだったの。それで、美希はどんな反応だったの?」
「うん、えーっと、あれ? どんなだったかなあ?」
覚えていないらしい。
 からかわれたのだから、美希は怒ったのだろうか。ラブに美希が怒るのは、簡単に想像できた。
「おっかしいな~、面白かったのは覚えてるんだけどな~。ごめんせつな、思い出せないよ~」
「そんな、いいのよ。ただ、謝るなら美希にね」
苦笑しながらそう言った私に、ラブはおどけてカオルちゃんのように笑い返した。
 ラブは本当に覚えていないのだろう。ラブが忘れていることを、美希には教えない方が良い気がした。少しばかり美希に同情する。でも、ラブが覚えていないことに、ほっとしてしまった自分は、ひどく嫌な子だ……。


みきたん (2)

「ねえブッキー」
「なあに? せつなちゃん」
「ラブが美希のこと、みきたんって呼ぶの、いつからか覚えてる?」
休日の午後、わたしの部屋で、せつなちゃんに手編みを教えていたとき、そう質問された。
「それね、覚えてるよ。小学校三年生のときにね、ラブちゃんが美希ちゃんをからかう時に使うようになったのよ」
 顔を赤くして焦る美希ちゃんは、かわいかったな。ラブちゃんも癖になったのかな。
「その時の、美希の反応がどんなだったか、覚えてる?」
「え? 美希ちゃんの、反応?」
「ええ、美希の反応」
重ねられた質問に、わたしは少しひっかかるものを感じた。
 せつなちゃんが、ラブちゃんではなく、美希ちゃんのことを聞いた。
 せつなちゃんの探るような目に、わたしはどう答えるのがいいのか迷った。わたしはせつなちゃんの目を避けて、
「どうだったかしら」
と、思い出すふりをしながら、ごまかし方を考えていた。
 せつなちゃんも感付いているのだろう、きっと。美希ちゃんの反応は、あの時も今も、根底にあるものは変わらないはず。試しにわたしが呼んでみた時の、反応の違いに、あの時の幼いわたしでも漠然と気付いたのだ。今、思い返せば余計にわかる、痛いほどに。
 わたしが答えることができずにいると、
「面白かった?」
探るような目をわたしに向けたまま、せつなちゃんはそう言った。
「そうね、面白かったような……。あ、ラブちゃんが覚えてるかもしれないわ」
「ラブはね、覚えてなかったわ」
「え? もうラブちゃんに聞いたのね」
「ええ」
答えをラブちゃんに丸投げするという逃げ道はなくなってしまった。
 面白がっていたラブちゃんは、あの時も、そして今も、気付いていないのかな。本当に?

「ブッキーも、覚えていないのね」
そういったせつなちゃんは、ずっと探るような目をわたしに向けたままで、
「でも私も、その場に居れたらよかったのに」
と続けた。なにが、でも、なのか疑問に思いつつ、
「ごめんなさい。」
咄嗟にわたしは謝っていた。
「どして? ブッキーが謝るところじゃないわ」
「うん……ごめんなさい」
「だから、違うでしょう?」
また謝りそうになったわたしは口を閉じた。せつなちゃんも黙った。
 わたしはずっと避けていたせつなちゃんの目を見た。一瞬、表情がかたくなったせつなちゃんは、下を向いて、
「いえ、ごめんなさい。私が変な質問したのがいけなかったのよ」
「変だなんて……」
 気まずい。わたし、反応間違えたかな。
「……あ、私、用事を思い出したわ。ブッキーごめんなさい、私帰るわね。今日はありがとう。これの続き、今度また教えて頂戴? よろしくね」
下を向いたまま突然、一気に捲し立てたせつなちゃんは、それでも、ピンクの編み物は大事そうにカバンにしまって、わたしと目を合わせずに帰ってしまった。
 せつなちゃんはあんなに嘘が下手な子だったかしら。なんて、わたしも言えないよね。ずるい。ところでせつなちゃん、わたしがブッキーって呼ばれることは気にしてくれないんだね。わたし、ちょっと寂しいな。


みきたん (3) 

「ねえみきたん」
「へ?」
カオルちゃんのお店で、ラブとブッキーを待っている時、試しに呼んでみた。すると、美希は変な声を漏らし、目を丸くして私を見た。その後、目を細めて睨みながら、
「せつなぁ~? さては、ラブの入れ知恵ねぇ~? まったく」
そう言って苦笑した。私は美希の向かいの席についていて、向かい合っていた。
 やっぱり違う反応をするのね。これは出来レースだった。
「そんなことないわ。でも私も、みきたんって呼んでもいい?」
「ええ? そうね……。いいわよ?」
目を逸らしてそう言った美希の迷いが、私にはよくわかった。
 私は嫌な顔をしていないだろうか。
「美希、ごめんなさい」
「え、ナニ?」
美希は訝しそうに私を睨んでいる。少し怒気も感じられる。悪ふざけが過ぎたかもしれない。
「冗談なの。美希、ごめんなさい」
「そう。せつな、貴方……。いえ、いいわ。許してあげる」
そして、会話は途切れた。
 一緒にいるときに会話がなくても、苦に感じるような関係ではない。けれど、自分の撒いた種が、美希を、不幸にしてしまった。しあわせのプリキュアが聞いて呆れる。本当に嫌な子だ……。


みきたん、突然せつなにそう呼ばれた時のアタシ、完璧からは程遠かったわね。ハトが豆鉄砲を食らうってのがぴったりだったわよ。
ラブの入れ知恵、だったらすごいわね。効果覿面だったわよ。
でもそれだと、まだラブがいない今言ったのが腑に落ちないわね。ラブが面白がりたいなら、タイミングは今じゃなかったはず。
それなら、アタシをせつなが、からかっただけか。
でも、それだと、せつなのこの落ち込み方は異常だわ。しかも泣きそうになってるし。
ああもう、なんなのよ。アタシがせつなを泣かせたわけ? 泣きたいのはこっちよ!
これは、そう、ラブのせいよ。間違いないわ。ラブがせつなに何か言ったのよ。アタシはラブのとばっちりを受けただけなのよ。アタシはせつなの八つ当たりにあった。それだけ。
あれ、それだとアタシ、惨めじゃない? 泣きたくなってきたわ――


わたしは遠くから二人を見ていた。遠目にも明らかに空気が重くなっていた。
(せつなちゃん、美希ちゃんにも聞いちゃったのね……。
 やっぱりわたし、ちゃんと答えておけば良かったかしら。でも、わたしは美希ちゃんじゃないし、勝手なことは言えなかったんだもの。言いたくなかったんだもの、わたしの口からなんて。
 そうよ、二人を、いいえ、三人を振り回す、ラブちゃんが悪いのよ。こうしてわたしの足が止まっているのも、ラブちゃんのせいなの)
その時、二人より更に向こうから、走ってくる人、ラブちゃんが見えた。
同時に動いた二人、いいえ、三人に助け舟を出したのも――わたし、信じてた――


「せつなー! お待たせー!」
「ラブ!」
「あ、ブッキーもまだだったんだ。なら走んなくてもよかったかー」
「ラブったら、もう」
「ちょっと待ちなさい、ラブ。アタシもいるんですけど?」
「ん? どうかした~? ウソウソ! ごめんね、みきたん、冗談だってばぁ~」
「はぁ~、ラブのせいで、いえ、なんでもないわ」
「うん? あたしのせいで何? ナニ?」
「なんでもないったら!」
「ぶ~! なによ~? みきたんのケチー。あ、ブッキー!」
「ごめんね、遅くなって」
「あたしも今来たとこだよー」
「ラブはブッキーに感謝しなさいよ」
「なんでラブちゃんがわたしに?」
「さあね」
「もう~、みきたん~、ごめんってばぁ~」
「まったく、ラブったら」
「なに? せつな」
「なんでもないわ」
「も~なんなの? みきたんもせつなも、あたしに言いたい事でもあるわけ?」
「ねえラブちゃん、やっぱりそうなのよね?」
「ブッキーも? なにが?」
「ううん? なんでもない」
「うわーん! みんながあたしをイジめるよー! カオルちゃんたすけてー!」


「新作、甘酸っぱいドーナツでも作ろうかね。あ、犬も食わないか」
少女たちの無邪気な笑顔をドーナツの輪から眺め、カオルちゃんも笑った。


みきたん (4)

一番わかりやすいのは、ラブちゃんだと思っていたの。でも今は違う。プリキュアになって、せつなちゃんと出会って、気付けば一番わかりにくくなっていた。
一番わかりやすいのは美希ちゃん。感情を隠すタイプでもないけれど、不器用よね。
せつなちゃんだって、直接的に感情を表に出すことは無いけれど、わかる方だと思う。
わたしは、引っ込み思案だし、感情を表に出すことは少ないかな。わかりやすいのかもしれないけれど。自分ではわからない。

問題はラブちゃんだ。最近はどんどんわからなくなってきている。
昔から皆のために一所懸命で、自分は二の次みたいなところがあったけれど。ラブちゃんは、自分のことには特に鈍感で、結構なドジっ子のはずだった。
でも最近、皆の心情を一番理解しているかのような言動が多くなった気がするし、すごく驚かされたことも何度かあった。
ラブちゃんだけが、先に成長してしまったみたい。
以前は姉であることもあって、美希ちゃんが大人っぽく見えたものだったのにな。
ラブちゃんにわたしの知らない秘密でもあるのだろうか。

あ、もしや、大人の階段のぼっちゃった、とか。
でも、大輔君とは付き合ってないはずだし、付き合ってたらすぐ広まるはずよね。それにあの二人、ちょっとそれとは違うのよね。特にラブちゃんが。
じゃあ、相手は、せつなちゃんかな。一番近いし、強い絆も本物よ。どっちから行くのも十分ありえるわ。せつなちゃんの暴走って線もいいわね。でも、そうなったらわかりそうなものよね。特にせつなちゃんで。
それだと、いいえ、美希ちゃんは無いわ。わたし、絶対に気付くもの。わたしだけでなく皆気付くわ、きっとね。それぐらいわかりやすいと思うの、美希ちゃんは。それにヘタレの美希ちゃんから行くことはないし、ラブちゃんは影でこそこそしないはず。
そうだわ、ミユキさんの可能性もあるわ。憧れも紙一重よね。ミユキさんもラブちゃんのことお気に入りみたいだし。でもでも、ミユキさんもそこまでわかりにくい人でもないわ。
らぶちゃんの相手、もしかして、わたしのことが、好きとか。ああでもこれだと階段のぼってないわ。身に覚えが無いし。
ラブちゃんは誰が好きなのかしら、どれも十分ありえるわ。あ、まさか二股なんてことも。全部の道もありかしら。どれも捨てがたい選択肢よね。迷っちゃうわ。
あれ、なにを考えていたんだっけ。そうそう、ラブちゃんが読めないのよ。

(ブッキーの表情、今日はやけにころころ変わるわね。面白いわ)
(ブッキーったら、途中から話に加わらないと思ったら、なにを百面相してるのかしら。でもなんだろ、触れない方が良いって、アタシの中で警報が鳴ってるわ)
(ブッキー、またやってるよう……。はやくなんとかしないと)


みきたん (5)

最近、ブッキーがあたしを観察しているんだよね。
いわゆる見つめてるってあれじゃないんだよね。それはそれで困るんだけど、でもその方が嬉しいかも、なんて。
だって観察なんだもん。観察。ひどいよブッキー。あたしを何だと思っているの!
うーん、せめてもっとさりげなく見てくれないかなあ。いや、それもなんか変なことになってくるよ。
試しに観察し返した日には、みきたんとせつなまで挙動不審になってしまったし。
まったく、どうしてくれようか。
いやあ、最初につっこみ入れておけば良かったのにな。もう今更な感じで、タイミング逃しちゃったままだよ。
やっぱり、直接聞くしかないかなあ。でも絶対ごまかすよね、ブッキー。
こうなったら脅しにかかろうか。ばらしますよ? とか、もらいますよ? とか。うばいますよ? もありかな。
でもブッキーもこわいんだよね。幼稚園の時に――
「ちょい待ち! ピーチはん、それ以上はほんまに堪忍してや」
そうだね、知らない方がいいこともあるよね。


みきたん (6)

近頃どうも、せつながつっかかって来るのよね。
アタシ、何かしたかしら。からかわれた覚えはあっても、アタシからせつなに何かした覚えはないわよ。
ラブみたいに、面白がってるだけには思えないのよね。
そういえば、ラブをからかうことはあるけど、ブッキーをからかうことはないわね。ブッキーには遠慮してるだけか。それとも、あ、考えるだけで寒気が。
あれ、ラブもいるときは、アタシをからかうことは無いわね。ラブも一緒にからかってきたら、余計に立ちが悪いから、別にいいんだけどね。
なんだろう、何か意味があるように思えるんだけど。せつなはラブに話しかけることが多いから、それだけのことかしら。でもせつなは、ブッキーとも結構話してるし、アタシとだってタコ以来は。
アタシにつっかかってるところを、ラブに見せたくない、とか?
あれ、アタシ、何を苛立っているのかしら。せつな? ラブ? ブッキー? それとも
「ミキ、ワラッテー」
アタシ、シフォンを抱きしめたままだったわね。ありがと、シフォン。アタシ駄目駄目だわ。


みきたん (7)

「ねえラブ?」
「なに? せつな」
寝る前の一時、私はよくラブとおしゃべりしている。今はラブの部屋。学校の話が一段落ついたところだった。
「私には、あだ名、つけてくれたりしないの?」
「せつなにあだ名ねえ~、愛称のことね」
「ええ」
本当に愛称が欲しいわけではない。けれど、興味が沸いた。

「う~ん、あ、せっちゃんがあるじゃん!」
「それは、ちょっと違うわ。お母さんとお父さんにそう呼ばれるのは嬉しいけれど」
二人の微笑が思い浮かび、じんわりとしあわせを感じた。
「やっぱり? じゃあー、せつなたん!」
「せつなたん……。なんだか言いにくいし、しっくりこないわね」
それと、一緒なのが、嫌。でもこれは言わないわ。
「う~ん、あ、せったん!」
「混ぜてきたわね。うまいこと言ってるようだけど、愛称って感じではないわ」
これは冗談なのだろう。流しておこう。
「むむむ、よし、ガッシー!」
「ブッキーはかわいく聞こえるけれど、ガッシーはそうでもないわ。どして?」
これも冗談よね? ラブ?
「どしてかな~? 他か~。おお、イースたん!」
「イースたん、か。そうね。文字だけ見ればいいかもしれないわ」
「ごめん」
「やめてよ。謝るとか。気を使ったりしないでね」
 そう、私はイース、だった。私がイースだったことも、人を不幸にしたことも事実。
否定しない。否定してはいけない。私は教えられた。
それも背負い立って、今度はプリキュアとして、皆のしあわせを守ると決めた。
イースだったのは私。イースは死んだ。生まれ変わった私はキュアパッション、東せつな。
もちろん償いもある。でもそれだけじゃない。
私にやり直せばいいと、私がしあわせになってもいいと、言ってくれた。
私がしあわせになることも、しあわせだと言ってくれる人がいる。
しあわせになって欲しい人たちのために、私もしあわせにならなければ。
「うん……。ねえ、せつな」
「なあに? ラブ」
「せーーつなっ?」
「だからなに! ラブ?」
「せっつなー!」
「もう! ラァ~ブゥ~?」
貴方の笑顔が、私を笑顔にする。私の笑顔は、貴方を笑顔にするだろうか。
ラブのように、私は、笑えているのだろうか。
今はまだ、そんな自信はない。ずっと自信なんか持てないかもしれない。
でもね、ラブ。聞いて、ラブ。私はもう、迷わない。だから、
「ねえ、ラブ」
私、精一杯、頑張るわ。


みきたん Fin

--------------------------

ラブが一番難しかった。
ブキの暴走気味はインスパイアを否定できないかも。
美希は優しい子だと思う。
せつなかわいい。


0 件のコメント:

コメントを投稿